あなたはナマケモノを過大評価していませんか?
『野生動物だし怠け者なわけないよ!』
『怠けてるのも人間がつけたイメージでしょ?』
そう思っている方、結論から言います!
「あなたが想像している以上に怠け者です!」
今回はナマケモノの想像以上の怠けっぷりをご紹介いたします。
そして、なぜナマケモノが怠けているのかナマケモノの謎も解説します。
知ると人生観が少し広がります。
是非、最後まで読んでみてください。
目次
ナマケモノが想像以上に怠けている件
ウィスコンシン大学マディソン校の研究グループが7年もの歳月をかけてナマケモノの生態調査を行い、面白い結論を導き出しました。
その研究によるとミユビナマケモノの代謝率は体重1kgあたり1日38.7キロカロリー。
ナマケモノは"地球上で最も代謝が遅い動物である"と結論付けました。
ナマケモノってとても低燃費なんです。
彼らはこの超絶低燃費を維持するために凄まじい怠け方をしています。
ナマケモノ寝すぎ問題
野生動物にとって睡眠中ほど無防備な瞬間はありません。
そんな中、ナマケモノの睡眠時間は約1日20時間と言われています。
コアラの22時間についで動物界でも2位の長さです。
ちなみに起きている4時間もぼーっとしているか、ご飯を食べるかです。
一見、怠け者だからさぼってるだけにも見えますがちゃんと理由があります。
実は、彼らは眠り続けることでエネルギーの消費を極限まで抑えているのです。
「寝過ぎ」は野生動物として危険な行動のようですが、実はナマケモノの場合は生き延びるために行っていたことなのです。
ご飯すら面倒、だけどトイレは頑張る(たまにはね)
ナマケモノは1日に葉っぱ一枚しか食べません。
ご飯すらもめんどくさいのでしょうか?
しかも、一歩も動かなくて良いように首を270度回転させ周囲の葉を食べられるように進化したのです。
楽をするために進化し、首の可動域を広げるなんて一周回ってすごいと思いませんか?
なぜ、移動して葉っぱを食べに行かないかというと、
移動して葉っぱをたべるよりもその場で限られた葉っぱをちまちまと食べるほうがナマケモノにとっては燃費が良かったのです。
人間も冬に炬燵から出るよりは、ご飯我慢して炬燵の上のお菓子ばかり食べてるときありますよね。
誤解を恐れず言うならば、ざっくりそんなイメージです。
こんな少食のナマケモノですが、数週間に一度だけトイレに行きます。
普段は樹上で生活するナマケモノですがトイレの時だけは地上に降りてきます。
(地上はヒョウなどの天敵が多く危険なのです)
その際、ナマケモノは1日のエネルギーの8%も消費してトイレのために地上に降りてきます。
これは人間に直すと30分早歩きをすることに相当するそうです。
このトイレですが重要な意味を持っていると考えられています。
ナマケモノが生活している木に栄養を与えるためにわざわざこんな大変な思いをして木の根元まで降りていくと考えられています。
木の上で楽をさせてもらうには木の成長は必要ですからね。
ナマケモノはトイレだけは力を振り絞ってます。
筋肉?そんな重いだけの鎧はいらないよ
ナマケモノってなんだか愛くるしい表情してますよね。
目が垂れていて笑っているようにも見えます。
しかし、実はナマケモノは笑っているわけではありません。
実は顔面の表情筋が無さすぎてたるんでいるだけなのです。
もちろん身体にも筋肉はほとんどありません。
筋肉の維持にはエネルギーが必要です。
低燃費を維持するため彼らは筋肉を捨てたのです。
筋肉がないためまともに立ち上がれず、地上では地面を這いずって移動します。
ここまで筋肉がないナマケモノは自然界で最弱レベルの弱さです。
にも関わらずなぜか彼らは自然界の戦場である「ジャングル」にどういうわけか住んでいます。
ナマケモノ、体温維持辞めるってよ
中学校の理科で「哺乳類は恒温動物です」と習ったかもしれません。
確かに、ほとんどの哺乳類は恒温動物ですがナマケモノは違います。
ナマケモノは周りの気温により体温が±5℃ほど前後する変温動物なのです。
体温の維持には、体の中で熱を生み出すためのエネルギーが必要です。
ナマケモノは体温の維持を諦めることで低燃費を実現しました。
ナマケモノの情けない死因
ナマケモノの死因を聞くと涙が出てきます。
みなさん、ここからは気を確かにして読んでください。
食べているのに餓死
彼らは食事をしていても餓死してしまう事があります。
ん?どういうこと?????
意味がわかりませんよね。
食事をしていても餓死してしまう理由を解説します。
彼らは食べたものを1ヵ月ほどかけて消化します。
特に、ナマケモノは変温動物のため寒い日が続くと体温低下により代謝機能が衰えます。
つまり、食べ物をエネルギーとして吸収するまでに相当な時間がかかるのです。
すると胃の中に食べたものが入っていたとしても、消化しエネルギーに換える事ができずその間に餓死してしまうことがあるのです。
動くと死ぬ
ナマケモノは動き過ぎると死んでしまいます。
えっ?そうなの?????
人間は運動をすると代謝により汗をだし熱を逃がします。
しかし、何度も言いましたがナマケモノは極端に代謝が低い動物です。
そのため、ナマケモノは運動をし過ぎると体内の熱エネルギーの発散が追い付かずに自分の熱で絶命してしまうことがあります。
そのためナマケモノはゆっくりとした行動を義務づけられています。
生きることを諦める
ナマケモノは弱肉強食のジャングルに生息しています。
もちろん、天敵となる生物もたくさんいます。
このような環境で、ナマケモノは襲われるとその時点で命を諦めてしまいます。
えー?そんなことある?????
ナマケモノの主な天敵はタカやワシなど。ナマケモノは彼らを見つけたら逃げるのか?
答えは「NO」。
というのも彼らは動かないことで木の枝や葉に擬態しているのです。
逃げようとした場合でも彼らの動く速さは時速16mです。
16kmではありません!1分間では27cmしか進まないのです。
本気を出すと時速120mで動けるらしいのですが、焼け石に水ですね。
彼らは天敵に見つかった時点でジ・エンドな生き物なのです。
それでは天敵に襲われたらナマケモノはどうするのか?
『あきらめて全身の力を抜く』そうです。
全ての個体がそうだというわけではありませんが、力を抜く事で力みをとり、痛みを少しでも和らげることができるからだといわれています。
たまにはナマケモノの生き方を参考に
みなさん、ナマケモノが怠けるためにどれだけ努力しているかお分りいただけたでしょうか?
命を諦められますか?食事辞められますか?
どの動物も生き残るために賢さと強さを手に入れてきました。
人間もそうです。
しかし、ナマケモノのような生き残り方もあります。
低燃費に全てをかけた彼らの進化、生き様。
「ナマケモノになりたい」など安易に口にするのは彼らに失礼ですね。
しかし、人間もたまにはナマケモノのように頑張りすぎず「低燃費」で生きた方がいい時もあるかもしれません。
少し肩の力抜いて生きましょう。
ナマケモノに負けず劣らず残念な生態の動物をこちらの記事でも解説しています。新たな驚きもあると思いますので、是非読んで見てください。
最後までお読みいただき有難うございました。
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【参考】この記事は以下を参考にさせていただきました
※1:日経サイエンス
http://www.nikkei-science.com/?p=51869
※2:眠り製作所
https://www.nemuri-seisakusyo.jp/hpgen/HPB/entries/86.html
※3:NATIONAL GEOGRAPHIC
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/8791/
※4:wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%9E%E3%82%B1%E3%83%A2%E3%83%8E