「パスタ」や「野菜」を茹でる際には食塩を加えます。
しかし、減塩の時にはこの食塩の存在が気になりますよね。
下茹での際に食塩は本当に必要なのか?
また、下茹でにより食材に塩分は吸収されないのか?
この記事では、「茹でる時の食塩の役割」と、「下茹でにより塩分は吸収されるのか」を解説します。
減塩中の方は是非、読んでください。
目次
茹でる時に使用する塩の役割・意味
「パスタ」やほうれん草やじゃがいもなどの「野菜」を茹でる際には食塩を加えて茹でます。
減塩の時には、この食塩の存在が気になりますよね。
それでは、下茹での際の食塩の役割とはなんなんでしょうか?
下茹での際の塩にはちゃんと役割があります。
しかし、その役割は食材ごとに異なるため食材ごとにその役割・意味を解説します。
「青菜」を茹でる際の食塩の役割・意味
青菜とはほうれん草や小松菜などの緑色の葉野菜のことです。
青菜を茹でる際には食塩を通常はあ1.5%ほど加えます。
・柔らかく茹でられる。
・アクを減らし、甘みを増加させる。
野菜を茹でる際の食塩には野菜の鮮やかさを保つという効果がある。
青菜の緑色はクロロフィルという色素が由来です。このクロロフィルは長時間の加熱に弱いため、茹ですぎると色が褪せてしまう。
しかし、塩を加えておくとクロロフィルが安定し、退色を防ぐことができます。
また、食塩には、野菜を柔らかく茹でるという効果もある。
野菜の細胞同士は、ペクチン質で接着しています。野菜を茹でる際には、野菜に含まれるカルシウムイオンが野菜のペクチン質にくっつきます。
しかし、ペクチン質は野菜に含まれるカルシウムイオンと決着するよりも、食塩に含まれるナトリウムイオンと決着した方が結合力は弱い傾向がある。
結果として、茹でる際に食塩を加えると、食塩を加えない場合に比較して野菜は柔らかくなります。
また、食塩を加えることでアクの成分シュウ酸を減らし、甘みを増加させる効果があります。
「じゃがいも」を茹でる際の食塩の役割・意味
じゃがいもを茹でる際にも食塩を加えます。
・柔らかく茹でられる。
『塩分早わかり 第3版 女子栄養大学出版部』によると、食塩を加えることで、芋臭さを除く効果があるそうです。
また、柔らかく茹でられる理由は先述した青菜の場合と同じくペクチン質に、食塩のナトリウムイオンが決着するためです。
「パスタ」を茹でる際の食塩の役割・意味
パスタを茹でる際にも食塩を入れます。
(・コシを強くする。)
パスタに食塩を加える主な理由は下味をつけるためです。
また、茹でる際に食塩を加えて「コシを強くする」という話も聞きますが、こちらの真偽は正直不明です。
そのため、ここではかっこ()で紹介します。
下茹でに食塩は必須なのか?
ここまで紹介した通り、下茹での際に加える食塩の意味はおおよそ次の通りです。
・野菜の色を鮮やかにする
・野菜を柔らかくする
・アクなどを除き、臭みを取る
・下味をつける
これらはどれも、「より美味しく調理するため」であり「必須」ではない。
実際に、私もパスタやほうれん草を茹でる際には別に食塩を加えることはほとんどありません。
特に、減塩中の方は食塩を使うのに抵抗がある方も多いと思います。
次に下茹での食塩は茹でた食材にどれくらい吸収されるのかどうかを解説します。
茹でる時に吸収される塩分量
食塩を加えて下茹でされた食材の塩分量を解説します。
ここでは、『塩分早わかり 第3版 女子栄養大学出版部』の値を参考に紹介します。
吸収される塩分の量は、茹でる際のお湯の塩分濃度により変わります。
そのため、茹でる際の塩分濃度と吸収される塩分の量を合わせて紹介します。
ほうれん草の場合
ほうれん草を茹でる場合に、食塩がどれくらい吸収されてしまうかを紹介します。
下茹で後のほうれん草に吸収される塩分量は、茹でるお湯の塩分濃度により、以下のようになります。
お湯の塩分濃度 | 塩茹で後のほうれん草100g中に吸収される塩分量 |
---|---|
1.0% | 0.22g |
2.0% | 0.42g |
このように、塩分濃度が上がるほど、ほうれん草に吸収される塩分は増加する。
塩茹で後のほうれん草の塩分濃度はお湯の塩分濃度の1/5程度である。
パスタの場合
パスタを茹でる場合に、食塩がどれくらい吸収されてしまうかを紹介します。
下茹で後のパスタに吸収される塩分量は、茹でるお湯の塩分濃度によ、以下のようになります。
お湯の塩分濃度 | 塩茹で後のパスタ100g中に吸収される塩分量 |
---|---|
0.3% | 0.36g |
ほうれん草やじゃがいもと比較して、パスタは吸塩量が多い。
理由は乾麺のパスタは茹でることでより多くの水分を吸収するからです。
じゃがいもの場合
じゃがいもを茹でる場合に、食塩がどれくらい吸収されてしまうかを紹介します。
下茹で後のじゃがいもに吸収される塩分量は、茹でるお湯の塩分濃度により、以下のようになります。
お湯の塩分濃度 | 塩茹で後のじゃがいも100g中に吸収される塩分量 |
---|---|
0.3% | 0.30g (塩分濃度0.30%) |
0.5% | 0.45g (塩分濃度0.45%) |
塩茹で後のじゃがいもの食塩濃度はお湯の塩分濃度と同程度。
【まとめ】茹でる際の食塩は少なめに!
ここまで、「下茹での際の食塩の役割」と、「下茹でにより塩分は吸収されるのか」を解説してきました。
下茹での際の食塩の役割としては、食材により変わりますが主に以下の理由です。
しかし、食塩は必ず入れなければならないという訳ではありません。
・野菜を柔らかくする
・アクなどを除き、臭みを取る
・下味をつける⇒食塩を加えるのは「美味しく食べるため」であり、「必須」ではない。
また、「下茹でによる塩分の吸収されるのか」の答えは「塩分は吸収される!」です。
微量ではありますが、下茹での際にお湯に加えられる食塩は食材にも塩分として吸収されます。
減塩中の方は、下茹での際に食塩は全く入れないという選択肢も有りです。
しかし、「より美味しく食べたい」という方は、ご自分の体調を考えながらお湯に加える塩分を調整すると良いと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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