ざっくりと「減塩が必要」とわかっていても、「何g以内にすればいいのか目安がわからない」という方は多いです。
それもそのはずで、実は一概に「何gに減塩すべき」とは言えません。
何故なら、体調や生活スタイルに合わせて最適な減塩量は異なってくるためです。
しかし、厚生労働省、WHO、高血圧学会、腎臓学会、透析医学会など各種機関が発行している情報より「何g以内にするのが良いか」という目安はつけることができます。
そこで今回は、どれくらい減塩しようか悩んでいる方に各種機関が発行している減塩目安を元に、「何gに減塩すべきか」という目安となる参考数値を紹介します。
私自身IgAで悩んでいた時には、今回紹介する各種機関の目標数値から自分で目標塩分量を決め、塩分コントロールしていました。
そして、実際にお医者さんには「かなり減塩できてるね」と太鼓判を押されていました。
今回紹介する数値はあくまで「参考」。
最終的にはお医者さんに相談することをおすすめします。
塩分摂取のリスク
この章では、塩分摂取のリスクについてお話しします。
減塩の目安の数値のみ知りたい方はこの章は読み飛ばしていただいて構いません。
塩分の摂りすぎは、以下のような疾病リスクに繋がります。
○(ガン・)脳梗塞・循環器疾病
《高血圧・腎臓病》
食事の塩分は、慢性腎臓病や高血圧と大きな関係があると言われています。
上の図は厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より引用した図です。
この図は栄養素摂取と慢性腎臓病の重症化との関連について、特に重要なものを示した図です。
この図は塩分の摂取が高血圧、慢性腎臓病と大きな関係があるということを示しています。
ただし、塩分を含める栄養摂取と慢性腎臓病の関連性の研究例は多くないため、上の図はあくまで概念図的な意味合いです。
CKD は、高血圧、脂質異常症及び糖尿病に比べると、栄養素等摂取量との関連を検討した研究は少なく、結果も一致していないものが多い。
《ガン・脳梗塞・循環器疾病のリスク》
国立がん研究センターの報告によると、塩分の過剰摂取は循環器疾病のリスクを高めることが示唆されています。また、同報告ではたらこ、いくらなどの塩蔵品ががんのリスクを高めている可能性も示唆されています。
この報告では、他にも塩分や塩蔵品の過剰摂取により以下のリスクが増加する可能性が報告されています。
・塩分の過剰摂取による脳梗塞リスク増加
・塩蔵品の摂取で胃がんリスクの増加
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
参考:国立がん研究センター
あなたは塩分を摂りすぎている?
普通の人は「あなたは1日に何gの塩分を取っていますか?」と聞かれても、答えられる人はまずいないだろう。厚生労働省の資料(2018年)によると、日本人の1日あたりの塩分摂取量の平均は次の通り。
・女性:9.3 g
それでは上記の、日本人の1日の塩分摂取量 9.3g〜11.0gというのは適正なのでしょうか?
ここで、世界の塩分摂取量と日本の塩分摂取量を比較してみます。
上記のグラフは2010年の国別の塩分摂取量を示したグラフである。
上記のグラフを見てわかるように日本の1日の塩分摂取量は、世界平均(10g)と比較しても多い。
驚くべきことは、このデータによると肥満大国で知られるアメリカよりも日本は塩分を摂取しているということである。
日本人は(もちろんあなたも)塩分を摂りすぎている可能性が高いと言えるだろう。
日本人は減塩すべきである!
・・・とは言っても、結局何gに減塩すべきなのか?
次の章で目安を解説します。
1日の塩分摂取目安
ここでは、各権威機関が示している「塩分摂取目安」をご紹介いたします。
各権威機関が示す塩分摂取目安は、減塩の目安を示してくれるヒントになるので数字を確認して見てください。
《厚生労働省》
対象:健常者
目安:男性 7.5g/女性 6.5g
参考:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
《WHO世界保健機関》
対象:健常者
目安:5g未満
参考:Guideline: sodium intake for adults and children(2012)
《高血圧学会》
対象:高血圧の方
目安:6g未満
参考:塩分推奨量
《日本腎臓学会》
対象:腎臓疾患者
目安:3~6g
参考:慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版
《日本透析医学会》
対象:人工透析患者
目安:6g未満
参考:慢性透析患者の食事療法基準
各機関が示している塩分摂取量の目安を確認しましょう。
一番厳しいのはWHOの5gです。
「5g」は健常者が目指すべき塩分摂取量の目安。
日本人の塩分摂取量(9.3g〜11g)はWHOの塩分摂取目安の2倍も摂取してしまっていることがわかります。
このWHOの基準は高血圧やガンとナトリウムの関連についての様々な研究から導かれており、欧米などの先進国では基準の一つとなっています。
一方で、一番制限が緩いのは厚生労働省の出している6.5g〜7.5g。
日本人の塩分摂取量(9.3g〜11g)は、最もゆるい基準である厚生労働省の基準(6.5g〜7.5g)の1.5倍もあることがわかります。
各機関が示す塩分摂取量の値はあくまでも目安。
実際にどれくらいの減塩量にすべきかは自分の体調を把握した上で決める必要があるでしょう。
しかし、各機関が示すこれらの目安は、塩分摂取量の目安を決めるためには有用な情報だと考えられます。
ここで、IgA疾患を乗り越えた私の経験から言わせていただくと(医者ではありません)、1日塩分6g以下にするとかなり減塩できている感触。
この塩分6gという数値ですが、塩分の多いラーメンや焼き魚などを食べると簡単に超えてしまう量。
それどころか、普段の「健康的」と感じられる食事を摂るだけで8~9gは余裕で行ってしまいます。
そのため、1日6gでも普段と比べるとかなりの減塩。
そこで、私は自分の中の目安として1日6g以下と決めました。
その結果、腎臓内科の掛かりつけの医者からは「本当によく減塩できてるね」と絶賛されています。
しかし、できれば医者に相談するのが良いでしょう。
今回初回した厚生労働省やWHO、高血圧学会などの基準を是非参考に日頃の食生活を見直すきっかけとしてみて下さい。
最後までお読みいただき有難うございました。
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