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The Shadow of the Supermassive Black Hole ブラックホール

引用:[1]The Shadow of the Supermassive Black Hole

皆さんは宇宙の果てや始まりって考えたことありませんか?考えてみると、果てしなくて頭の中でぐるぐる回って眠れなくなりますよね。

 

今回遂にその答えに近く大きな発表がありました!

 

2019年4月10日に国立天文台チームなどのチームが『ブラックホールを視覚的に観測した』事を発表しました。

 

今回はこの研究の壮大さをわかりやすくお伝えしたいと思います!
記事の参考にしたリンクは最下部にまとめて記載してあります。

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ブラックホールの興味

アインシュタイン 一般相対性理論 シュバルツ解
ブラックホールとは、大きな質量を持ち、その強い重力により光さえ脱出できない暗黒の天体です。理論的には、アインシュタインの一般相対性理論(1916年)によりその存在が予言されてきました。一般相対性理論に基づくと、ブラックホールは周りに非常に高音のガスが渦巻き、中心に黒い部分(ブラックホールシャドウ)があると考えられていました。

 

天文学的には、これまでの研究から銀河の中心にはブラックホールが存在していると考えられていました。加えて「ブラックホールの質量」と「銀河の膨らみ」には強い相関があることがわかっていました。

 

このことからブラックホールは銀河の形成・成長に深く関係していると考えられています。しかし、光も脱出できないためまだその存在を視覚的に観測したことはありませんでした。

 

そのため、今回の研究による大きな成果はブラックホールの”直接撮影”と”質量決定"だと秦さんは話します。([8]国立天文台 秦先生のコメントより)

それではどうやってブラックホールを観測したのか噛み砕きながら説明していきます!

EHTプロジェクトとは?

今回、ブラックホールを観測したチームはEHT(Event Horizon Telescope)というチームです。

 

EHTとは、人類初の「ブラックホールシャドウ」の撮像を目指す国際プロジェクトで、60の主要機関と200名以上の優秀な研究者からなる大きなチームです。

 

ここまで巨大な研究プロジェクトはほとんどありません。しかも世界中の超優秀な研究者が莫大な資金をかけて取り組んだのです。まさに"ドリームチームだと思います!

今回彼らが注目した天体はM87と呼ばれる天体です。またその地球からの見かけの大きさは約1億分の1度。これは"月面上のテニスボールを地球から見た時の大きさ"に相当するそうです。地球から他の天体の上に落ちているテニスボールを見つけるって現実味がなさすぎますよね笑

どうやって観測したの?

どうやってこんな小さいものを観測するかというと、VLBI (Very Long Baseline Interferometer)という手法を使って観測しています。

 

これは、複数台の電波望遠鏡をつなぐことにより、望遠鏡同士の間隔と同等の口径の巨大な電波望遠鏡を疑似的に再現する技術です。

 

人間の目も1つより、2つの方が視野も視力も上がりますよね?ざっくり、そんなイメージです。

 

Array and Instrumentation 観測箇所

引用:[2]Array and Instrumentation

今回は、北はグリーンランド、南は南極までの6箇所8台の電波望遠鏡により「地球サイズの電波望遠鏡」を擬似的に再現します。人間の視力に直すを300万だそうです!300万って言われても想像できませんよね。だって経験したことないですから笑

 

また、取得したデータも膨大で5ペタバイトに及んだそうです。この5ペタバイトは5テラバイトの千倍、5ギガバイトの一千万倍に相当する数字です!米アリゾナ大学のダン・マローン氏はこの莫大な数をこのように表現しています。

「MP3ファイルなら5000年分の音声データに相当します。私が読んだ文献によれば、4万人が生涯に撮影する自撮りコレクションが5ペタバイトになるそうです」

 

実は今回の観測方法ではデータをとるだけでは画像は完成しません。複数の電波望遠鏡から得られたデータを掛け合わせて取得した電波を合成することで1つの画像が完成します。この処理を相関処理と言います。複数の電波望遠鏡に入って来た波の波長を合わせる作業が必要になります。これは「普通のカメラでいう焦点を合わせる作業」([8]国立天文台 本間先生のコメントより)だそうです。

 

5ペタバイトのデータはあまりにも重すぎて転送できないため、ハードディスクを物理的に運んで1箇所に集めて解析を行ったそうです。以下の写真はその時の様子。ハードディスクをフォークリフトで運んでます。「研究あるある」だと思うのですが、こういう時って結局ゴリ押ししますよね笑

遂にブラックホールシャドウを観測!

この解析には2年を費やしたそうです。なんて気の遠くなることでしょう・・・。

 

取得したデータは4日分。そのデータを従来法、米国手法、日本手法の3つの手法によりそれぞれ独立して解析し、全てにおいて同様の画像が得られました

3つの手法による解析画像の比較 引用:First M87 Event Horizon Telescope Results. IV. Imaging the Central Supermassive Black Hole

3つの手法による解析画像の比較
引用:[3]Imaging the Central Supermassive Black Hole

科学の世界では、このように「"誰が"、"いつ"やっても同じ結果になる」とこを「再現性がある」といい、結果の正しさを裏付ける証拠になります。今回も十分な再現性が取れたため「この解析画像は正しかった」と確証付けられました

 

さらに、今回得られた画像が一般相対性理論からのシミュレーション画像の特徴と一致していることから、「この画像はブラックホールである」と結論づけられました。

(左)撮影画像、(右)解像度を合わせたシミュレーション画像
引用:[4]Physical Origin of the Asymmetric Ring

 

さらに、銀河のふくらみと強い相関を持つことがわかっているブラックホールの質量」も今回はじめて実験的に測定しました。画像の赤いリングの部分(光子球)の大きさがわかれば、相対性理論の式から質量は直ぐに導き出せます。そこから導いた、その質量は太陽の65億倍!太陽を単位にしなければならないほど重く、まさに「天文学的数字」です!

 

この質量が分かったことにより今後の銀河の形成・成長のメカニズム研究に大きな弾みがつくことでしょう!

さらにこの先へ!

ここで出て来た数字はどれも壮大なスケールではなかったでしょうか。「視力300万」,「5ペタバイト」,「太陽の65億倍」、・・・

 

ブラックホールの性質について理解することは普通の人には無理ですし、無意味なことだと思います。

 

しかし「研究者」と呼ばれる方達は、"儲かる or 儲からない"ではなく"ロマン"に挑んでいるのです。"ロマン"とはこの世の誰も知らないことを知る冒険のようなものだと私は思います。今回のライブでも本間先生と秦先生のキラキラ輝いている目をみるとこちらまで惹きこまれてしまいました。

 

そう。物理学者ってみんなロマンチストなんですよね笑

 

最後に本間先生のコメントがとても印象深かったのでこれで終わりたいと思います。

国立天文台 本間希樹教授:
アインシュタインが100年前にこれを予言していて100年かけて僕ら研究者がやっと撮ったわけですけど、そしたらアインシュタインの予想どおりだったんですねだから何もアインシュタインは間違っていない。少なくともこれを見る限りではアインシュタインやっぱり正しいんだ。本当に100年間経ってもまだ揺らがない…すごいですよね

「Live News it!」4月11日放送分より

 

本間先生や秦先生をはじめ研究に携わった方々、
本当におめでとうございます!

最後までお読みいただきありがとうございました。
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[1]The Shadow of the Supermassive Black Hole
 DOI: https://doi.org/10.3847/2041-8213/ab0ec7
[2]Array and Instrumentation
 DOI: https://doi.org/10.3847/2041-8213/ab0c96
[3]Imaging the Central Supermassive Black Hole
 DOI: http://doi.org/10.3847/2041-8213/ab0e85
[4]:Physical Origin of the Asymmetric Ring
 DOI: https://doi.org/10.3847/2041-8213/ab0f43
[5]NATIONAL GEOGRAHPIC
[6]Event Horizon Telescope
[7]EHT-Japan
[8]国立天文台(Youtube)

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